
LED電光掲示板は、点灯した瞬間が終わりではなく始まりです。モジュール1枚のドット不良、緩んだコネクター、ふさがった換気口は、放置すると隣接モジュールや電源部へ広がりますが、最初の1年以内に対処すれば部品1つの交換で済みます。そのため当社では、設置後最初の1年を毎月の運用者点検+四半期ごとの定期点検に分けて管理します。
本記事では、いつ何を確認するのか、運用者が自分でできることと施工会社が行うべきことを分けてまとめました。
1. 引き渡し時 — 基準値を残します
点検とは「初期状態」と比較する作業です。
設置が終わると、キャリブレーションとエージングテスト(クンゴゲ交差点では24時間連続運転を1か月)を完了したうえで、基準写真と設定値を残します。全面白・赤・緑・青の画面写真、輝度スケジュール、コントローラー設定のバックアップ、分電盤のブレーカー表示です。以降の点検はすべてこの基準と比較します。
このとき運用教育も併せて行います。コンテンツの差し替え、輝度・時間スケジュールの変更、異常時の連絡方法 — 運用者がこの3つを把握していれば、ほとんどの状況は現場で対応できます。
2. 毎月 — 運用者が5分で行えます
専用機材なしで目視確認する項目です。
月に1回、画面全体を点灯した状態で、ライン不良・ドット不良・色が異なる区間がないかを正面と側面から確認します。屋外では表面のほこりや換気口のふさがり、キャビネット下の水溜まりも併せて確認します。コンテンツとスケジュールが正常に送出されているか、夜間に輝度が下がるかも確認します。
異常が見つかったら、写真を撮ってアフターサービスを申し込むだけで大丈夫です。モジュール1枚の不良を放置すると熱と電流が隣接モジュールに集中し、不良が広がることがあるため、「1枚くらい」と放置しないのがコツです。
画面全体の点灯 — ライン・ドット・色の不良区間
表面のほこり、換気口・フィルターのふさがり(屋外は毎月、屋内は四半期ごと)
キャビネット下部・接続部の水溜まり、シリコンの剥がれ
コンテンツ・スケジュールの正常送出、夜間調光の動作
コントローラー・ネットワークの状態表示灯
3. 3・6・9・12か月 — 定期点検項目
施工会社が機材を持ち込んで確認する項目です。
| 周期 | 点検項目 | 担当 |
|---|---|---|
| 1か月 | リモート監視ログ、輝度スケジュール・照度センサーの動作、初期不良モジュール | 施工会社(リモート+訪問1回) |
| 3か月 | コネクター・電源端子の締め付けと変色、電源ユニットの出力電圧、換気ファンの動作、防水シーリングの状態 | 施工会社 |
| 6か月 | キャリブレーションの再調整(輝度・色の均一性)、コントローラー・受信カードのファームウェア、接地・SPDの点検 | 施工会社 |
| 9か月 | 季節点検 — 梅雨・台風の前後に防水・排水・構造物の締結、冬前の結露対策 | 施工会社 |
| 12か月 | 全体点検+保証期間満了前の消耗品(ファン・電源)交換、予備モジュールの確保、翌年の契約協議 | 施工会社+運用者 |
4. 輝度の運用が寿命を決めます
100%で24時間点灯し続けると、寿命が大きく縮みます。
メーカー資料によると、最大輝度で24時間連続運用すると寿命が数十%短くなり、60〜70%の輝度で運用すれば標準寿命(約10万時間)を超えて使用できます。屋外では照度センサーで昼間だけ最大近くまで上げ、夜間は下げる自動調光が、寿命・電気代・苦情の3つを一度に解決します。
コンテンツも影響します。白背景の静止画を長時間流すと、特定のモジュールだけに熱が集中して先に色が変わります。案内画面は暗い背景にし、静止画は定期的に切り替えることをおすすめします。
5. 保証と保守契約
保証は「故障したら直すもの」、保守は「故障する前に確認するもの」です。
保証期間中は部品の不良を無償で対応しますが、ほこり・湿気・過電圧のように管理で防げる原因は保証対象外となる場合が多くあります。そのため当社では保証とは別に保守契約(定期点検年4回+リモート監視+緊急出動)をおすすめしており、クンゴゲ交差点のように保証終了後も管理業務を引き継いで継続管理する現場が増えています。
契約時の確認事項:定期点検の回数と項目、緊急出動までの時間、予備モジュール・電源の保有有無、リモート監視の範囲、消耗品交換費用の基準。
① 症状別の対処法
よく寄せられる症状とその原因です。
| 症状 | よくある原因 → 対処 |
|---|---|
| 1列・1区間が消える | 受信カードまたはデータケーブル → ケーブルの再接続、受信カードの交換 |
| モジュール1枚が暗い、または色が異なる | モジュールの劣化・熱 → モジュール交換後にキャリブレーション |
| 画面全体がちらつく、または消える | 電源ユニット・ブレーカー・電圧降下 → 電源部の点検、回線容量の確認 |
| 雨の後に一部モジュールが不良 | 防水シーリングの破損・結露 → シーリングの補修、乾燥後にモジュール点検 |
| 夜に明るすぎるという苦情 | 照度センサーの故障・スケジュール未設定 → センサー点検、夜間輝度の設定 |
| コンテンツが切り替わらない | ネットワーク・コントローラー → 通信状態の確認、コントローラーの再起動・ファームウェア |
② 運用者チェックリスト
この5つさえ守れば、最初の1年は問題ありません。
毎月の点灯状態確認+異常時は写真を撮って申し込み
自動輝度調整・運用時間スケジュールの維持(勝手に100%固定にしない)
換気口・キャビネット周辺に物を置かない、屋外は毎月ほこりを確認
電光掲示板の専用回線にほかの機器を接続しない
コントローラー設定のバックアップと分電盤表示の保管
点検周期・項目:Unilight, Installation & Maintenance Guide・Excel LED, Outdoor LED Display Maintenance Schedule・Dynamo, LED Display Maintenance/輝度の運用と寿命:Fusion LED, Maintenance & Longevity・PTC LED, Maintenance Guide。引き渡し手順(キャリブレーション・エージング・運用教育)とアフターケア契約の方式はLO-GIN ITの施工事例(クンゴゲ交差点・香村文化会館)の記録で、寿命の数値はメーカー・モデルによって異なります。
このガイドの推奨仕様
毎月:運用者の目視点検5項目
3・6・9・12か月:施工会社の定期点検
輝度60〜70%+夜間自動調光
保証+保守契約(年4回・リモート・緊急出動)