
建物の外壁や道路沿いにLED電光掲示板を設置したいけれど、どこから確認すればよいか迷っていませんか?屋外電光掲示板は「画面サイズと価格」よりも設置環境が先です。同じサイズでも、輝度・ピッチ・構造・電気の条件によって仕様と見積もりが大きく変わるためです。
この記事では、当社の施工チームが現場相談で最初に確認する5つのポイントを順にまとめました。最後までお読みいただければ、見積もり依頼の前に何を準備すればよいかがつかめるはずです。
1. 屋外は「輝度の勝負」です
屋内用を屋外に設置すると、昼間は消えているように見えます。
屋内用と屋外用LEDモジュールの最大の違いは輝度です。真昼の直射日光の下で画面を見せるには、屋内用(800~1,200nit)よりはるかに高い5,000nit以上の輝度が必要です。軒下やショーウィンドウの内側など直射日光が当たりにくい半屋外であれば、その中間の仕様で十分です。
輝度は高ければよいというものでもありません。夜間に屋外用の最大輝度で点灯したままにすると、まぶしさへの苦情が寄せられます。そのため屋外電光掲示板は照度センサーで昼夜の輝度を自動調整する構成が基本で、当社が施工した現場もすべてこの方式で運用しています。
2. ピクセルピッチは「見る距離」で決まります
細かければ細かいほど良いわけではありません。遠くから見るなら広いピッチが正解です。
ピクセルピッチは画質とコストを同時に決める値です。基準はシンプルです。最小視聴距離(m) ≈ ピッチ(mm)で、快適に見える距離はその2倍程度です。道路の向かい側(10m以上)から見る電光掲示板ならP8~P10で十分で、その分コストを抑えられます。店舗入口のように3~5m以内から見るなら、P2.5~P4をご検討ください。
クンゴゲ交差点の橋脚電光掲示板がP8、香村文化会館のゲートがP4なのも同じ理由です。橋脚は車両が数十m手前から見る一方、文化会館のゲートは歩行者がすぐ下を通るためです。
| ピッチ | 快適な視聴距離 | 主な用途 |
|---|---|---|
| P2.5 ~ P3 | 5 ~ 6m以上 | 店舗入口・近距離案内・歩道 |
| P4 | 8m以上 | 建物低層外壁・ゲート型造形物 |
| P6 | 12m以上 | 2車線道路沿い・商業施設正面 |
| P8 ~ P10 | 16m以上 | 高架・橋脚・大通り沿い・屋上電光掲示板 |
3. 雨やほこり、夏の熱に耐える必要があります
屋外用は「明るい屋内用」ではなく、まったく別物です。
屋外モジュールは前面がIP65等級で密閉され、キャビネットは錆びないよう亜鉛めっき・塗装処理を施します。キャビネットの接続部と配線の引込部には、別途シリコン防水仕上げを行います。
見落とされがちなのが熱です。夏場の直射日光の下ではキャビネット内部の温度が大きく上がるため、換気ファンや背面点検通路を設計段階で組み込むことでLEDの寿命が保たれます。建物外壁に密着させて設置する場合は、背面に空気が流れるすき間を残すのが基本です。
前面IP65・背面IP54以上、キャビネットは亜鉛めっきまたは粉体塗装
接続部・配線引込部のシリコン防水仕上げ
換気ファンまたは背面点検スペースの確保(保守動線を兼用)
落雷・サージ保護装置(SPD)と接地
4. 構造物と電気は画面より先に決めましょう
電光掲示板は「重い看板」です。まず壁と電気が耐えられるかを確認します。
屋外キャビネットは材質によって1㎡あたりおよそ15~45kg(アルミダイキャストは軽く、鉄製板金は重い)で、これに風荷重が加わります。パネル壁や古い建物の外壁にはそのまま掛けられないため、Hビーム・トラスなどの別途構造物や壁の補強が必要です。柱や橋脚に巻き付けて設置する場合は、構造物を工場であらかじめ製作し、クレーンで建て込みます。
電気は専用回路と分電盤が原則です。屋外モジュールは全白・最大輝度の条件で1㎡あたり400~900Wの瞬間電力を使うため(実際の映像送出時の平均はその35~40%程度)、既存の店舗コンセントにつなぐとブレーカーが落ちます。電気容量は平均ではなく最大値で見積もります。コントローラーを置く屋内スペースまで信号線(光またはUTP)を通す経路もあわせて確認します。
5. 見積もりには画面以外にもこんなものが含まれます
「1㎡あたりいくら」とお答えしにくい理由がここにあります。
見積書は大きく6つの項目に分かれます。画面(モジュール・キャビネット)、制御・電源(コントローラー・受信カード・電源装置)、構造物・補強、電気工事、機材・運搬・施工(クレーン・足場・低床車両・人員)、そしてコンテンツ・保守です。同じ6m × 3mでも、平地1階の壁なら画面の比重が大きく、橋脚や高層外壁なら構造物と機材の比重が大きくなります。
そのため当社は「画面価格」ではなく、設置条件に基づく範囲でまずご案内し、現地実測の後に項目別の見積もりで確定します。以下の条件をお知らせいただければ、範囲のご案内がずっと早くなります。
① こんな状況にはこの選択が最適です
よくいただくご質問を状況別にまとめました。
| ご希望 | 適した選択 |
|---|---|
| 道路の向かい側の車両から見える広報画面 | P6~P10・5,000nit以上・輝度自動調整 |
| 店舗入口から3~5mの距離で見る案内・メニュー画面 | P2.5~P4・半屋外なら輝度を一段階下げても可 |
| 柱・曲面・ゲートなど形状のある造形物 | オーダーメイドキャビネット+工場事前製作の構造物・異形モジュール |
| 建物外壁だが壁が弱い | 壁の補強または独立フレーム(Hビーム・トラス)を検討 |
| 夜間中心の運用、周辺が住宅地 | 照度センサーによる自動減光+運用時間スケジュール |
| 設置後の管理が心配 | 保証期間+保守契約(定期点検・遠隔モニタリング) |
② 設置前チェックリスト
以下の6つを確認しておけば、ご相談が一度で済みます。
設置場所の写真2~3枚(正面・側面・設置面のアップ)と希望する横・縦サイズ
見る人が主に立つ距離(m)と方向
設置面の材質(コンクリート・パネル・ガラス・鉄骨)と建物の階数
最寄りの分電盤の位置と余裕容量、コントローラーを置く屋内スペース
主に流すコンテンツ(画像・映像・案内文)と運用時間
屋外広告物の許可の要否(自治体・建物オーナーとの協議)
輝度の基準:4Wall, Outdoor LED Brightness・Litemax, Outdoor Display Brightness Guide / ピッチ・視聴距離:Daktronics, Optimal Viewing Distance・Barco, Pixel pitch and viewing distance / IP等級:屋外モジュールの仕様例(前面IP65/背面IP54) / 消費電力・重量:DOIT Vision, LED Display Power Consumption・NSELED, Power Consumption。数値はメーカー・モデルによって異なります。施工に関する記述は、LO-GIN ITの施工事例(クンゴゲ交差点・香村文化会館・清道市場)に基づいています。
このガイドの推奨仕様
環境:屋外・建物外壁
推奨輝度:5,000nit以上+自動調整
視聴距離:中距離(5~10m)を想定
推奨ピクセルピッチ:P4 ~ P6