
電光掲示板の設置で最も抜けやすい項目が電気です。「コンセントがあるから大丈夫だろう」と始めて、白い画面が映った瞬間にブレーカーが落ちる現場を何度も見てきました。LED電光掲示板はコンテンツによって瞬間電力が大きく変動する機器なので、電気容量は平均ではなく最大値で見込む必要があります。
本記事は、当社が電気工事の範囲を決める手順そのままです。画面サイズとモジュール仕様書さえあれば、誰でもおおよその計算ができます。
1. 仕様書で「最大消費電力」を探します
平均値ではなく最大値(Max Power)です。
モジュール・キャビネットの仕様書には、通常最大消費電力(Max)と平均消費電力(Average/Typical)が1㎡あたりのWで記載されています。最大は画面全体が白・最大輝度のとき、平均は一般的な映像を流すとき(おおよそ最大の35〜40%)の値です。屋外モジュールは最大400〜900W/㎡で、屋内はそれより低くなります。ブレーカー・ケーブル・分電盤は最大値で、電気代は平均値で計算します。この2つを取り違えると、一方ではブレーカーが落ち、もう一方では電気代が3倍に見積もられます。
2. 面積を掛けて余裕20〜30%を加えます
例:屋外6m × 3m、最大600W/㎡のモジュールなら設計容量は約14kW。
18㎡ × 600W = 10.8kWが最大電力です。これに電源投入時の突入電流と経年劣化に備えた余裕として20〜30%を加え、約14kWを設計容量とします。この値が専用回線の太さとブレーカー容量を決めます。一方、電気代を見るときは10.8kW × 35〜40% ≒ 4kWを運用電力と考えます。1日16時間点灯すると約64kWh、1か月で約1,900kWh程度です(料金は契約種別・単価によって異なります)。
3. 専用回線+分電盤が原則です
既存の店舗回路にはつなぎません。コントローラーも同じ回線から取りません。
屋外電光掲示板は分電盤から専用ブレーカーを設けて専用回線で接続します。既存の照明・エアコンの回路に一緒につなぐと、電光掲示板が明るくなった瞬間にほかの機器まで停止します。規模が大きい場合は電光掲示板の横に分電盤を新設してキャビネットごとの電源ユニットへ分配し、コントローラー・ネットワーク機器は別回路(可能であれば無停電電源)から給電します。当社の現場では、分電盤の電源供給状態、各接続部の締結、接地状態を最終点検項目に含めています。
屋外では接地とサージ保護デバイス(SPD)が必須です。落雷が直撃しなくても、近隣の落雷によるサージで受信カード・電源が一度に故障する事故は、最もよくある故障原因の一つです。
4. 配線経路と防水までが電気工事です
電源線・信号線の通り道、引き込み部の防水、点検用の余裕まで。
電源線とデータケーブル(光またはUTP)は、分電盤・コントローラーの位置から電光掲示板まで指定経路で配線します。壁の貫通・配管・ケーブルトレイが必要か、屋外に露出する区間があるかによって工事範囲が変わります。キャビネット間の配線は順番に接続し、たるみやねじれがないよう整理します。屋外に露出する接続部は防水処理を施し、ケーブルが構造物に押しつぶされないよう保護します。今後の点検や部品交換のために、余長と点検スペースも残します。清道市場・香村文化会館の現場はこの手順で進めました。

5. 輝度スケジュールで電気代を減らせます
夜間の自動調光は苦情防止であり、節電でもあります。
消費電力は輝度にほぼ比例します。照度センサーで夜間に輝度を下げ、運用時間(例:7〜23時)を決めておけば平均電力が大きく下がります。コンテンツの影響も大きく、白背景の画像は黒背景よりはるかに多く電力を使うため、24時間送出する案内画面は暗い背景でつくるだけで電気代が下がります。
① 画面サイズ別のおおよその電気工事範囲
屋外モジュール最大600W/㎡、余裕30%を前提とした例です。実際は仕様書の値で計算します。
| 画面サイズ | 最大電力 | 設計容量(×1.3) | 一般的に必要なもの |
|---|---|---|---|
| 2m × 1m (2㎡) | 約1.2kW | 約1.6kW | 分電盤の専用ブレーカー1回路 |
| 4m × 2m (8㎡) | 約4.8kW | 約6.2kW | 専用回線+単独ブレーカー、接地・SPD |
| 6m × 3m (18㎡) | 約10.8kW | 約14kW | 電光掲示板用分電盤の新設、三相電源の検討 |
| 10m × 5m (50㎡) | 約30kW | 約39kW | 三相電源、分電盤の新設、受電容量増設の検討 |
② 電気関連チェックリスト
お見積もりのご依頼時にこの情報をいただければ、電気工事の範囲をすぐに決められます。
モジュール仕様書の最大/平均消費電力(W/㎡)
最寄りの分電盤の写真(ブレーカー容量、空き回路)と電光掲示板までの距離
建物の受電容量と契約種別(単相/三相)
コントローラーを置く屋内スペースとネットワーク(インターネット)の有無
電源・信号線が通る経路(壁の貫通・配管の可否)
運用時間と夜間の輝度ポリシー
最大/平均電力と余裕率20〜30%:LEGIDATECH, LED Screen Power Supply to Power Consumption・DOIT Vision, LED Display Power Consumption・NSELED, Power Consumption/電気代の計算(平均電力×時間):Linsn, Power Consumption Guide・LEDinCloud, Calculate Power Consumption and Plan Cables。配線・防水・最終点検の手順は、LO-GIN ITの施工事例(清道市場・香村文化会館・クンゴゲ交差点)の記録です。表のkW値は例示仕様に基づく計算値で、電気工事は電気工事業の許可を持つ業者が関連法規に従って施工します。
このガイドの推奨仕様
設計容量 = 最大電力(W/㎡)× 面積 × 1.2〜1.3
電気代 = 最大 × 35〜40% × 運用時間
専用回線+接地+SPD必須
夜間の自動調光+運用時間スケジュール